ライセンス契約書

更新日：2023年12月19日投稿日:2023年12月19日

海外に直接投資する際、自社の特許使用許諾やフランチャイズ・ライセンス契約が必要不可欠です。直接投資は自社で工場や店舗を構える必要があるので、莫大な資金を必要とします。

しかしライセンス契約の場合、自社工場や店舗は必要がないため、コストを抑えてビジネスを始めることが可能です。ライセンス契約に欠かせないライセンス契約書の概要や翻訳事情を見ていきましょう。

ライセンス契約書とは

ライセンス契約書とは、第三者に特許・商標権・意匠権・著作権・ノウハウなど、自社が所有する知的財産の使用を認める際に交わす契約書のことです。知的財産権を所有する側をライセンサー、知的財産を使用する側をライセンシーとし、両者の間で契約の対象となるもの、使用に関する条件などを決め、その内容を契約書に織り込みます。

一口にライセンス契約とさまざまな種類があるので、代表的なライセンス契約の特徴についても把握しておきましょう。

クロスライセンス契約

クロスライセンス契約とは、契約する2つの会社が、それぞれ持つ知的財産をお互いに使用できるようにするライセンス契約です。一般的なライセンス契約は知的財産の使用の対価として、ライセンシーがライセンサーにライセンスフィーを支払いますが、クロスライセンス契約の場合は、ライセンスフィーを支払わない代わりに相手の所有する知的財産を使用することができます。

サブライセンス契約

サブライセンス契約とは、ライセンサーから知的財産の使用を許可されたライセンシーが、子会社や提携企業などにその使用許可を与える契約のことです。サブライセンス契約を交わさない状態で、さらに第三者に商品の製造・販売を委託してしまうと、ライセンサーが持つ知的財産権を侵害したことになってしまいます。

ただし、サブライセンス契約を交わすと、ライセンシーの行う事業に対してライセンサーの目が届かなくなることもあるため、積極的に契約を行わないケースも少なくありません。サブライセンス契約を行う際は、ライセンサーにとってもメリットがある契約になるように考慮する必要があります。

ライセンス契約書の翻訳事情

ライセンス契約書の翻訳を依頼する上で、抑えておきたいポイントをご紹介します。

対象国の知的財産法を把握する

知的財産権に関する法規や法律は、国によって違いがあります。日本とは大きく異なる国も多いので、対象国の知的財産法規や法律をしっかり把握しましょう。国際基準に基づいてライセンス契約書を作成することが、後々のトラブルを避けることにつながります。

WIPOなど知的財産権に関する協定に加入しているかどうかを確認する

WIPOは国際的に知的財産権の保護を行うことを目的として設立された国連の専門機関のことです。国を跨いでライセンス契約をする際、国際的な枠組みを外れると、万が一知的財産権の侵害を受けても泣き寝入りするほかないといった自体に陥ってしまう可能性があります。

対象国でのビジネス展開を考慮する

対象国でどのようなビジネス展開をするのかを明確にした上で、ライセンス契約書を作成しましょう。前述した通り、ライセンス契約を結んだライセンシーが第三者に知的財産の使用を認める場合、サブライセンス契約を結ばなければなりません。

英文契約書との違いを理解する

日本の企業同士がライセンス契約を結ぶ際、信頼関係に基づいて契約が交わされるので、柔軟な対応ができるような内容になっていることも多いです。問題が合った場合も調停や仲裁によって解決を図るケースは少なくありません。しかし国際取引では性悪説が前提となっていることが多いので、契約書の内容やカバーすべき範囲も異なります。ただ既存の和文契約書を翻訳するのではなく、英文契約書との違いを理解し、国際取引に適した契約書を作ることが大切です。

翻訳会社の選び方

知的財産は企業にとって非常に重要なものです。その知的財産権の使用を許可するライセンス契約を国外の企業と交わす場合は、対象国の法規や法律、国際基準を理解し、それに沿った翻訳を行うことが重要になります。

ライセンス契約書の翻訳を依頼する翻訳会社を選ぶ際は、対象国の事情や国際基準をしっかり理解した会社に依頼するようにしましょう。

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